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クラス ×イト
第5章 ほころビ 【乾英太2】
「三生! 待ってよ!」
フードコートから離れ、エスカレーターで一階に下る前に、僕は三生を呼び止めた。
「ああ……英太くん。いたの?」
立ち黙った三生は駆け寄る僕を見て、力なくそう呟く。僕を待たせていたことも、忘れたみたいに言ってる。
「いたの? じゃないよ。どうして一人で、行っちゃうのさ」
こっちだって、大変だったんだから。僕からすれば、そんな気持ちが先に立っていた。
「うん……ごめんね」
そう口にしながらも、三生は僕と視線を合わせようとしない。その表情はとても虚ろだ。僕がもう少し大人だったら、その様子から『推して知るべし』なのだろうけど。
「それで、どうなったの?」
僕は率直に、そう訊ねてしまった。
「僕ね――赤緒さんに、告白したんだ」
「うん。そしたら――赤緒さんは?」
「赤緒さん、は……」
三生はそう言ったきり、言葉を続けてはくれない。
フードコートから離れ、エスカレーターで一階に下る前に、僕は三生を呼び止めた。
「ああ……英太くん。いたの?」
立ち黙った三生は駆け寄る僕を見て、力なくそう呟く。僕を待たせていたことも、忘れたみたいに言ってる。
「いたの? じゃないよ。どうして一人で、行っちゃうのさ」
こっちだって、大変だったんだから。僕からすれば、そんな気持ちが先に立っていた。
「うん……ごめんね」
そう口にしながらも、三生は僕と視線を合わせようとしない。その表情はとても虚ろだ。僕がもう少し大人だったら、その様子から『推して知るべし』なのだろうけど。
「それで、どうなったの?」
僕は率直に、そう訊ねてしまった。
「僕ね――赤緒さんに、告白したんだ」
「うん。そしたら――赤緒さんは?」
「赤緒さん、は……」
三生はそう言ったきり、言葉を続けてはくれない。