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クラス ×イト
第5章 ほころビ 【乾英太2】
デパートを後にすると、外は夕暮れ。
「……」
何処かおぼつかない足取りの三生。それを気にかけながら、僕はその隣を歩いていた。
一体、赤緒さんとは何を話したんだろ。告白はしたみたいだけど、その後どんな反応を彼女が見せたのか、それが僕は気になっている。
だけど、まあ。告白に対する結果は、聞くまでもなさそう。それは今の三生の様子を見るまでもなく、その前から何となくそう思えた。
それは僕らが『D3』で、彼女が『女帝』だから――という前提の話ではなくて。
三生と赤緒さんを繋ぐものは、三日前の教室での出来事。赤緒さんは誰にも知られたくない話(たぶん)を、三生に聞かれてしまっているのだ。
それがどれ程の重要なことなのか、僕の想像は及ばない。それでも、僕にだってわかることはあった。
赤緒さんはあの時――『口止めする』と言い。
三生は僕に――『二人の秘密』だと言った。
同じ出来事に対する、それこそが二人の温度差。そこから考えても、答えは出ているように思えた。
とにかくこんな時は、友達として励まさなくっちゃ。僕はなるべく明るく、三生に話しかける。
「三生。そんなに気にすることないよ。告白しただけでも、凄いんじゃない。僕なんて藍山さんを前にしたら、話すこともできないんだから」
「……」
「どう言うのかなぁ。赤緒さんって、やっぱ特別だと思うんだ。僕ら異世界モノのラノベから取って『女帝』とか、呼んでたくらいだしね。だからさ。なにも彼女じゃなくても、もっと身近に――」
「英太くん!」
僕の話を遮るように、三生は声を張った。
「あ、うん。なに……かな?」
僕が恐る恐る、そう訊ねると――
「僕――赤緒さんのこと、諦めたわけじゃないから」
三生はきっぱりと、言い切っている。
「……」
何処かおぼつかない足取りの三生。それを気にかけながら、僕はその隣を歩いていた。
一体、赤緒さんとは何を話したんだろ。告白はしたみたいだけど、その後どんな反応を彼女が見せたのか、それが僕は気になっている。
だけど、まあ。告白に対する結果は、聞くまでもなさそう。それは今の三生の様子を見るまでもなく、その前から何となくそう思えた。
それは僕らが『D3』で、彼女が『女帝』だから――という前提の話ではなくて。
三生と赤緒さんを繋ぐものは、三日前の教室での出来事。赤緒さんは誰にも知られたくない話(たぶん)を、三生に聞かれてしまっているのだ。
それがどれ程の重要なことなのか、僕の想像は及ばない。それでも、僕にだってわかることはあった。
赤緒さんはあの時――『口止めする』と言い。
三生は僕に――『二人の秘密』だと言った。
同じ出来事に対する、それこそが二人の温度差。そこから考えても、答えは出ているように思えた。
とにかくこんな時は、友達として励まさなくっちゃ。僕はなるべく明るく、三生に話しかける。
「三生。そんなに気にすることないよ。告白しただけでも、凄いんじゃない。僕なんて藍山さんを前にしたら、話すこともできないんだから」
「……」
「どう言うのかなぁ。赤緒さんって、やっぱ特別だと思うんだ。僕ら異世界モノのラノベから取って『女帝』とか、呼んでたくらいだしね。だからさ。なにも彼女じゃなくても、もっと身近に――」
「英太くん!」
僕の話を遮るように、三生は声を張った。
「あ、うん。なに……かな?」
僕が恐る恐る、そう訊ねると――
「僕――赤緒さんのこと、諦めたわけじゃないから」
三生はきっぱりと、言い切っている。