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クラス ×イト
第6章 なりゆキ 【澤田裕樹】
そんな悩みを自覚し始めていた、ある日のことだ。俺と同じ中学出身の女子が、教室に卒業アルバムなんて代物を持ってきていたのは……。
クラスの女子の間で、そのアルバムは回され。俺が気がついた時には、もう――。
「ウソ? コレ、澤田なの? アハハ! 全然、違うし」
山村佳奈――は俺の写真を見つけて、そんな風に騒いでいた。
卒業写真の中の俺は、黒縁の眼鏡と前髪を下ろしたダサい髪型。表情も冴えないその一枚は、今の仲間には絶対に見せたくない写真だった。
アルバムを眺め笑っている、仲間たちを押し退けると――
「み、見るなって!」
俺は無様に狼狽えて、それを両手で隠していた。既に十分に見られた後。今更、慌てる方がみっともない。そんなこと考える余裕も、俺にはなかった。
そしたら、その時。
「ねえ――澤田」
佳奈は、俺を見て――
「昔のことなんて、どうでもいいじゃん。今の澤田――結構いいと思う。きっと、頑張ったんだよね」
そう言って、優しく微笑みかけていた。
「――!」
とても意外だったその言葉は、たぶん俺を救っている。
同時にこの瞬間から、俺は山村佳奈を意識するようになり。次第にそれが『好き』という、はっきりとした形を創り出す。
「……」
だがその佳奈も今では――『友達の彼女』に過ぎなかった。
クラスの女子の間で、そのアルバムは回され。俺が気がついた時には、もう――。
「ウソ? コレ、澤田なの? アハハ! 全然、違うし」
山村佳奈――は俺の写真を見つけて、そんな風に騒いでいた。
卒業写真の中の俺は、黒縁の眼鏡と前髪を下ろしたダサい髪型。表情も冴えないその一枚は、今の仲間には絶対に見せたくない写真だった。
アルバムを眺め笑っている、仲間たちを押し退けると――
「み、見るなって!」
俺は無様に狼狽えて、それを両手で隠していた。既に十分に見られた後。今更、慌てる方がみっともない。そんなこと考える余裕も、俺にはなかった。
そしたら、その時。
「ねえ――澤田」
佳奈は、俺を見て――
「昔のことなんて、どうでもいいじゃん。今の澤田――結構いいと思う。きっと、頑張ったんだよね」
そう言って、優しく微笑みかけていた。
「――!」
とても意外だったその言葉は、たぶん俺を救っている。
同時にこの瞬間から、俺は山村佳奈を意識するようになり。次第にそれが『好き』という、はっきりとした形を創り出す。
「……」
だがその佳奈も今では――『友達の彼女』に過ぎなかった。