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クラス ×イト
第6章 なりゆキ 【澤田裕樹】
こんなテンションで、歌なんて歌ってられねーよ……。
俺はボックス内のシートに佇み、他の三人が歌うのを呆然と眺めていた。
それでも露骨に落ち込んでもいられない。護と佳奈が付き合ってることに、俺がショックを受けてるなんて、悟られる訳にはいかなかった。
だから一応は形だけ盛り上がってる素振りを、見せたりしてる俺。はっきり言って、そんな自分が痛かった。
俺自身がそんな感じだったから、その様子に気がついたのはかなり時間が経った後のこと。
「……」
佳奈……? 明らかにハイテンションな護に比べ、その様子には何処か違和感を覚える。護と茜が歌ってるタイミングを見計らうと、俺は佳奈に話しかけた。
「どうした? あまり、乗り気じゃねーじゃん」
「別にぃ……なんでも。つーか澤田こそ、歌ってないし」
「俺は……元々、歌とか得意じゃねーから」
「そっか……」
やっぱり変だろ……。そうは思うが、それ以上どう訊けばいいのかわからない。二人が付き合ってることは内緒。護からもそう言われているから、あまり突っ込んだことも言えない。
そしたら、佳奈が――
「澤田って、さ。好きな子とか、いる?」
ふとそんなことを訊くから、俺は焦った。
「いや……今は、特に……。どうした急に?」
ホントのことが言える訳もなく、そう誤魔化す俺。
「どうもしないけど――」
佳奈は頬杖をつき、ちょっと虚ろな目をしてこう続ける。
「『好き』とかって――なんか、よくわかんないんだよね……」
「佳奈……?」
それが佳奈のどんな気持ちを表していたのか、俺には全くわからなかった。
俺はボックス内のシートに佇み、他の三人が歌うのを呆然と眺めていた。
それでも露骨に落ち込んでもいられない。護と佳奈が付き合ってることに、俺がショックを受けてるなんて、悟られる訳にはいかなかった。
だから一応は形だけ盛り上がってる素振りを、見せたりしてる俺。はっきり言って、そんな自分が痛かった。
俺自身がそんな感じだったから、その様子に気がついたのはかなり時間が経った後のこと。
「……」
佳奈……? 明らかにハイテンションな護に比べ、その様子には何処か違和感を覚える。護と茜が歌ってるタイミングを見計らうと、俺は佳奈に話しかけた。
「どうした? あまり、乗り気じゃねーじゃん」
「別にぃ……なんでも。つーか澤田こそ、歌ってないし」
「俺は……元々、歌とか得意じゃねーから」
「そっか……」
やっぱり変だろ……。そうは思うが、それ以上どう訊けばいいのかわからない。二人が付き合ってることは内緒。護からもそう言われているから、あまり突っ込んだことも言えない。
そしたら、佳奈が――
「澤田って、さ。好きな子とか、いる?」
ふとそんなことを訊くから、俺は焦った。
「いや……今は、特に……。どうした急に?」
ホントのことが言える訳もなく、そう誤魔化す俺。
「どうもしないけど――」
佳奈は頬杖をつき、ちょっと虚ろな目をしてこう続ける。
「『好き』とかって――なんか、よくわかんないんだよね……」
「佳奈……?」
それが佳奈のどんな気持ちを表していたのか、俺には全くわからなかった。