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クラス ×イト
第6章 なりゆキ 【澤田裕樹】
 その時の佳奈は、何か物憂げで……。俺は思わず、抱きしめてしまいたくなった。

 だがそんなこと、できる訳ないだろ。佳奈は護の彼女で、しかも二人はもう……。

 ふと裸で抱き合う二人の姿をイメージし、それが俺に強烈なダメージを与えてる。そんなことが嫌だから、今日は一人で過ごしたかったんだ。


 それから、暫くした時だった。

「悪りーけど。俺たちちょっと用があるから、お先」

 佳奈の手を引くと、護は突然そう言ってボックスを出ようとする。まだ時間は結構残っているのに、その様子は明らかに不自然だ。

「ちょと、護?」

 連れ出されようとしてる佳奈も、困惑気味。

「だったら、もう皆で出ようか――」

 俺がそう言って立ち上がった時、慌てて護が駆け寄る。そして俺の肩に腕を絡めると、佳奈たちに背を向けるようにして、何かヒソヒソと耳打ちしてきた。

「バーカ。茜と二人きりに、してやろうとしてるんだろ」

「は? そんなこと、頼んでねーし」

「わかれよ。お前だって、そろそろって気を使ってんの。茜なら悪くないだろう。それにアイツ、ああ見えて意外と――」

 そう話す途中で、その茜が口を挟む。

「え、なぁに? 男同士で、仲良くしちゃってー」

「ハハ、別に――業務連絡ってやつ」

 護は適当に茜をあしらうと、また俺への耳打ちを続けた。

「これは、俺なりの友情の証ってわけ。だから、後はしっかりやれよ」

 護はそんなことを告げ、そのまま佳奈だけを連れ去って行く。
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