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クラス ×イト
第6章 なりゆキ 【澤田裕樹】
 ボックスの室内の広さに反して、密着するように俺の横に座ってる茜。自然とほのかな女の香りが漂ってきて、俺は居心地の悪さを感じてる。

 そんな状況で、急に茜はこんなことを言い出した。

「あの二人ってさぁ、もう付き合ってるよねー」

「そう、らしいな……」

 あんな感じなら、そりゃあ茜だって気がつくだろ。少なくとも護には、隠そうなんて気持ちないみたいだし……。

「やっぱ、そぉか。あーあ、少し前までは護って、私のこと狙ってるみたいだったのに」

 そう言って茜がため息をついたから、俺は少し意外に思った。

「茜って、護のこと好きだったのか?」

 俺がそう訊くと――

「好き? アハハハ! それは、ないよー」

「……?」

 急に笑い始めた茜を見て、俺はきょとんとする。

 そして茜はまた俺の方に、じりっと身体を寄せて耳をくすぐるように囁いた。


「どっちかって、いったらさぁ。私――裕樹の方がタイプだよ」


 その時、茜の大きな胸が――俺の肘にぐにゅっと当たった。

 ホント……何なんだよ、今日は?

 俺は失恋して、もの凄く傷ついてるはずだろ。なのに今、茜の胸の柔らかさにドキドキしたりしてやがる。

 俺は頭が混乱して、そうそこにいるのが耐えられなかった。

「もう――帰ろうぜ」

 俺はそう言って、茜から逃げるように席から立ち上がる。
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