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クラス ×イト
第6章 なりゆキ 【澤田裕樹】
『茜――来てたのか?』
『うん。つい、さっきだよ。あれ――今日、コンパって言ってなかったっけ?』
『つまんねーから、抜けて来たんだよ。ん――誰か来てたのか?』
『ああ――うん。さっきまで、友達が――』
『お前、来たのも、ついさっきって言ったよな?』
『アハハ――そうなんだ。だから、友達がいたのは、ほんの一瞬』
『茜、お前――また、男を連れ込んだんじゃねーのか』
『ええ、まさかぁ!』
所々は想像で補完してるが、部屋の中から聴こえた会話はたぶんそんな感じ。
「どうすんだよ……?」
俺はベランダの隅にひっそりと身をひそめ、生きた心地がしてない。
帰って来たのは、この部屋の主。恐らくは大学生かな。まあそれがどこの誰だろうと、茜の彼氏であることは間違いないのだろう。
何度も言うが、ホントに今日は何なんだよ。
色々あった挙句、今のこの状態は『間男』ってやつ? 彼女すらいたことのない高校生の俺が、何でこんな目に遭っているのだろう。
やっぱ、ちゃんと一人で落ち込みたかったな……。
俺が一日の行動を省みていると、部屋の中からまた茜の声が聴こえた。
しかも今度は話声とは、少し違うみたいで……。
『ああっ……もう……そんな、慌てないで……うんっ、あ、ああんっ!』
その茜の怪しい声が、俺の虚しさを増加させていた。
俺はアパートのベランダから、建物の下を見た。外灯に照らされた直下が、土の地面であることを確認する。今、俺がいるのは二階――。
「いけるな」
と、俺は呟く。
もうそこには一秒だって、いたくはなかった。多少ヤケ気味な気分が、俺の無茶な思い付きを後押ししてる。
先に鞄を放り投げたのに続き。ベランダの端に掴まった俺は――
――ドサッ!
何とか無事に、地面への着地を果たしていた。
『うん。つい、さっきだよ。あれ――今日、コンパって言ってなかったっけ?』
『つまんねーから、抜けて来たんだよ。ん――誰か来てたのか?』
『ああ――うん。さっきまで、友達が――』
『お前、来たのも、ついさっきって言ったよな?』
『アハハ――そうなんだ。だから、友達がいたのは、ほんの一瞬』
『茜、お前――また、男を連れ込んだんじゃねーのか』
『ええ、まさかぁ!』
所々は想像で補完してるが、部屋の中から聴こえた会話はたぶんそんな感じ。
「どうすんだよ……?」
俺はベランダの隅にひっそりと身をひそめ、生きた心地がしてない。
帰って来たのは、この部屋の主。恐らくは大学生かな。まあそれがどこの誰だろうと、茜の彼氏であることは間違いないのだろう。
何度も言うが、ホントに今日は何なんだよ。
色々あった挙句、今のこの状態は『間男』ってやつ? 彼女すらいたことのない高校生の俺が、何でこんな目に遭っているのだろう。
やっぱ、ちゃんと一人で落ち込みたかったな……。
俺が一日の行動を省みていると、部屋の中からまた茜の声が聴こえた。
しかも今度は話声とは、少し違うみたいで……。
『ああっ……もう……そんな、慌てないで……うんっ、あ、ああんっ!』
その茜の怪しい声が、俺の虚しさを増加させていた。
俺はアパートのベランダから、建物の下を見た。外灯に照らされた直下が、土の地面であることを確認する。今、俺がいるのは二階――。
「いけるな」
と、俺は呟く。
もうそこには一秒だって、いたくはなかった。多少ヤケ気味な気分が、俺の無茶な思い付きを後押ししてる。
先に鞄を放り投げたのに続き。ベランダの端に掴まった俺は――
――ドサッ!
何とか無事に、地面への着地を果たしていた。