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クラス ×イト
第6章 なりゆキ 【澤田裕樹】
 何とか家に帰り着き、ようやく自分の部屋で落ち着く俺。何気に携帯を確認すると、そこには新着のメールが二件――。


『裕樹いなくなってるからビックリ!無事に帰ったの?』


 一つは茜からの、そんな内容。

 俺にしてみれば、お前が平気そうなことがビックリだよ。俺はそう苦笑しながら、とりあえず家に帰っていることを返信している。

 あと、もう一方は護から――。


『どうよ?茜といい感じになれたか。また話聞かせろよ』


「……」

 コッチには、返信する気にすらなれない。ただ、そのメールを受信した『PM9:17』という時間が、何か妙にリアルだと思えた。

 そう言えば、アイツ……。俺はカラオケでの、護の言葉をふと思い出す。


『茜って、ああ見えて意外と――』


 護の奴は、茜の奔放な本性を知ってたのか? もし、そうだとしたら、それって……。

「ああっ、くそ!」

 俺は妙な想像をして、それを消すように髪の毛をクシャクシャと掻きむしった。

 茜のことは、はっきり言ってどうでもいい。というか、アイツはああいう女だと、もう認めるしかなかった。

 俺のことを元気づける、と言ったのも別に嘘だとは言わない。だからある意味で、情が深いと言えばそうなのだろう。

 だけど茜の持っている感覚は、あまりに俺と違うから。この先に俺が、深く関わるべき相手ではなかった。

 その点については――


『好き? アハハハ! それは、ないよー』


 そう言って笑った、茜の顔が全てのように思えている。
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