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第6章 なりゆキ 【澤田裕樹】

　だから俺がムカムカするのは、やはり護に対してだった。それが単純な嫉妬だけとは、どうしても割り切れない気がして……。

　何故、そう思うのか……？　俺はその理由を探した。

　そして――「！」

　俺は今日――佳奈から聞いていた言葉に、ハッとする。


『好きとかって――なんか、よくわかんないんだよね……』


　頭の中にその言葉が、どうも引っかかっていたみたいだ。しかもそれに対する、護のあの雰囲気――。

　俺にだって別に、人の恋愛をどうこう言うつもりはない。もし仮に――護が佳奈の表層しか、見ていないとしても。茜がその時の気分で、好きでもない奴に優しくしたとしても。

　そこには、それぞれの形ってものがあるんだろう。

　俺が佳奈を好きになったのも、きっかけはほんの些細な一言であって……。それがどれ程のものかと聞かれれば、どう答えればいいのかさえわかりはしなかった。

　だがそれでも――佳奈はきっと何かを、悩んでいる。俺はそこに気がついてしまった。


「……」

　携帯を片手にして、俺はすごく長い時間を迷っている。そして結果的に選んだ行動が、正しいだなんてとても思えなかった。


　ともかく――俺はその一通のメールを送信している。