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クラス ×イト
第2章 だメンず 【乾英太1】
僕が要二への追及を続けていると、またそこへ現れた人がいた。
「お話し中、ごめんね。去河くん。ちょっと、いいかな」
僕らの会話に、こうも他の誰かが絡むなんて稀なこと。だけどこの時、要二に声をかけたのは、クラスメイトではなかった。
「あ……先生。うん、いいけど……」
「?」
焦って彼女に対応する要二を見て、僕は少し妙だと感じる。
「放課後、少し時間あるかしら。話があるのだけど」
今、要二と話しているのは、佐倉瑞穂(さくら みずほ)。要二が「先生」と呼んだように、佐倉先生は社会科の教師で主に歴史の授業で教鞭を取っていた。
とはいっても、それもつい最近のこと。産休に入った前任の先生の代わりとして、先生がこの高校に来てからまだ間もない。実際に教壇に立つのも初めてらしく、年齢は知らないけどまだ若いことは確かだった。
それとまあ、美人であるということも間違いない――だろう。
そんな人が、要二に何の用事があるのか。気になった僕は否応なく、二人の会話に注目した。
「話って……佐倉先生が、俺に?」
そう聞き返す要二。その丸顔が、心なしか紅くなったように見える。でも――
「あ、私じゃなく――北村先生よ」
「は? なんだよ……」
要二は当てが外れたみたいに、顔をしかめた。
北村先生とは、このクラスの担任で男(歳は確か三十くらい)。そういえば一応、佐倉先生はクラスの副担任ということになっていたっけ。
どうやら佐倉先生は北村先生に言われて、言伝を頼まれていただけのようだった。
「お話し中、ごめんね。去河くん。ちょっと、いいかな」
僕らの会話に、こうも他の誰かが絡むなんて稀なこと。だけどこの時、要二に声をかけたのは、クラスメイトではなかった。
「あ……先生。うん、いいけど……」
「?」
焦って彼女に対応する要二を見て、僕は少し妙だと感じる。
「放課後、少し時間あるかしら。話があるのだけど」
今、要二と話しているのは、佐倉瑞穂(さくら みずほ)。要二が「先生」と呼んだように、佐倉先生は社会科の教師で主に歴史の授業で教鞭を取っていた。
とはいっても、それもつい最近のこと。産休に入った前任の先生の代わりとして、先生がこの高校に来てからまだ間もない。実際に教壇に立つのも初めてらしく、年齢は知らないけどまだ若いことは確かだった。
それとまあ、美人であるということも間違いない――だろう。
そんな人が、要二に何の用事があるのか。気になった僕は否応なく、二人の会話に注目した。
「話って……佐倉先生が、俺に?」
そう聞き返す要二。その丸顔が、心なしか紅くなったように見える。でも――
「あ、私じゃなく――北村先生よ」
「は? なんだよ……」
要二は当てが外れたみたいに、顔をしかめた。
北村先生とは、このクラスの担任で男(歳は確か三十くらい)。そういえば一応、佐倉先生はクラスの副担任ということになっていたっけ。
どうやら佐倉先生は北村先生に言われて、言伝を頼まれていただけのようだった。