この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
クラス ×イト
第7章 アらガう 【堂林亮伍】
 その顔を見て、俺は呟く。

「ああ、そうだったな」

「なに?」

「瀬山に一番甘いのは、お前だ」

「エヘヘ、そうなのかなぁ」

「……」

 俺がマンガ以外で「エヘヘ」と笑う奴を見たのは、海藤美和というこの女が初めてだ。

 眼鏡をかけ、昔っぽいおさげ髪。鼻の周りのソバカス。いつもホンワカと笑ってる海藤は、今時珍しいタイプのようだ。良く言えば、素朴……?

 だが俺に言わせれば、チャラチャラと飾り立てた女より、よっぽどマシには見える。これは単純な比較の上での、すなわち個人の感想に過ぎないが……。

 去年の県大会の後、当バスケ部にはマネージャー希望の女子が殺到している。その全員が、大会で鮮烈な活躍をみせた瀬山が目当てなのは明白だ。その証拠に――


『瀬山くんってさ、同じクラスの赤緒さんと付き合ってるみたい……』


 そんな噂が女子たちの間で囁かれ始めた途端、マネージャー希望者は蜘蛛の子を散らすように姿を消していった。残ったのは、たった一人。それが海藤だった。

 俺は関心などないが、瀬山が赤緒と付き合っているというのは、たぶん事実。いかに派手な女が苦手な俺でも、赤緒に『白旗』を上げた女子たちの気持ちは何となく理解できた。

 傍目から見ても、瀬山と赤緒の並びはそう思わせるくらいバッチリとハマっている。

 だが、この海藤美和はそれにめげる風もなく、今でもマネージャーを続けていた。むさ苦しい男子部員に対し、たった一人の女子マネ。決して楽な仕事ではなかったはず。その姿はこんな俺の目にさえ、健気にも映っていた。

 それだけ、瀬山への想いが強いってことか……?

 俺は不意にその顔を見上げる。

「ただの、憧れだよ」

 海藤は遠くを見つめて、そう言った。
/579ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ