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クラス ×イト
第7章 アらガう 【堂林亮伍】
 瀬山の顔色が変わったのは、そのボールが顔に向けて投げたものだったからだ。間抜けな奴だったら、顔面に当たっていたことだろう。


「亮伍……どうしたの?」

 俺たちの様子に気がつき、海藤は不安そうにしていた。だがこうなってしまえば、そんなことにも構ってもいられない。

 俺はわざとニヤッと笑うと、瀬山に言った。

「『1оn1』――俺と勝負しろよ、瀬山」

「勝負――?」

 『1оn1』――つまり一対一の対戦形式。いくら奴が乗り気じゃなくても、挑発された上で『勝負』と聞けば、その答えは決まっていた。

「――わかった」

 瀬山は静かに、俺に応じた。


 他の部員たちが去った後の――体育館。

「……」

 マネジャーの海藤だけが、黙って俺たちの勝負を見守ろうとしていた。

 コートで対峙する――俺と瀬山。

 勝負を前にして、瀬山は俺にこう訊ねる。

「勝負っていうのなら――なにか、賭けるのか?」

「別に――あえて言うなら、プライドだろ」

 別に何も決めなくたって、俺が勝てば自ずと目的は果たされるはず……。

「そうか――じゃあ、始めようか」

「ああ――来いよ!」

 瀬山のオフェンスで、俺たちの勝負はその火蓋を切った。
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