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クラス ×イト
第7章 アらガう 【堂林亮伍】
俺が……強い?
「……」
呆然とする俺の手を、瀬山はそっと払いのけた。
そして、瀬山は海藤に言う。
「海藤……あと、頼むな」
「あ、うん」
そんな二人のやり取りを尻目に、俺は力が尽きたようにその場にへたり込む。
「……」
コート上で胡坐をかき、ガックリと項垂れる俺。そうしながら瀬山の言葉の意味を、何となく探していたんだろう。
すると――
「ハイ、タオル」
海藤はそう言って、俺に真っ白なタオルを差し出す。
俺はそれをジッと見て――
「ソレ、瀬山に持っていけよ。こんな時くらい、アピールすればいいだろ」
「だけど、もう行っちゃたよ」
「お前が、グズグズしてるからだ」
「エヘヘ、仕方ないよ。それが私だから」
海藤は、いつもみたいに微笑み――
「それにね。このタオルは、亮伍に使ってほしいんだ」
と、そう言った。
「また……同情か」
俺はついそう口にして、情けない気分でタオルを受け取る。
すると、何故か俺に背を向けた海藤。腰の処で手を組み肩をきゅっと窄めると、こんな風に言った。
「私ね――二人の目を、ずっと見てたんだよ」
「目……を?」