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クラス ×イト
第8章 ウそツき 【瀬山宗助】
 体育館を出る前に、振り返った俺はもう一度、堂林の方を見た。

 奴はガックリと項垂れていた。が――その傍らには、それを気にかける海藤の姿がある。

「……」

 それを見た俺の胸に去来していたのは、恐らくあの時と同じ。それは俺に相談とやらを持ち掛けた、乾英太の話を聞いた時のことだ。

 状況は様々で各々に葛藤があることを、決して軽んじている訳ではなかった。それでも、奴らの想いが、俺には何処までも真っ直に思えた。

 例え届かなくとも、その想いを捻じ曲げようなどと考えたこともないんだろう、な。俺だって、できるならそうしいたい。もちろん、不可能でないことも知っていた。

 でもそうしない俺は、自分の言葉通り――やはり、強くはなかった。


「羨ましい――よ」


 俺はまたそれを呟き、コートを後にしてゆく。
 
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