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クラス ×イト
第8章 ウそツき 【瀬山宗助】
 学校を出ると、外はとっくに暗い。最近の俺にしては、随分と遅い帰りとなっていた。体育館から近い裏門から学校を出ると、タッタッと俺に駆け寄る足音。

 俺はその顔を見て――

「――礼華」

 と、その名を呼んだ。

「遅かったから、来てしまったけど――迷惑?」

「いや、待たせて悪かった」

「私が勝手に待ってるだけ。だから、気にしないで」

「じゃあ、帰るか」

「ええ」


 俺たちは学校の裏手の路地を、並んで歩いて行く。外灯の光も薄暗く静かで寂しげで、クネクネとうねった細い道だ。

 隣りを歩きながら、礼華は言う。


「真っ暗ね」

「そうだな」

「誰も――見てない」

「ああ」

「手――繋ごうか」

「……」


 黙っていると、礼華の右手が俺の左手に絡んでくる。


 俺と赤緒礼華――二人の会話は、恐らく。例えば同じクラスの連中が聞いたら、それは不可解なものなのかもしれない。

 だがそれは、誰も俺たちの本当の姿を知らないからだった。

 俺は礼華を知っていて――礼華も俺を知っている。

 そんな俺たちだから、その後に交わした言葉も別に可笑しくはなかった。


「瀬山……」

「ん?」

「気持ち悪く――ない?」

「そんなこと、気にするな」


 俺が答えると――礼華は微笑む。とても、ホッとしたかのように……。
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