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クラス ×イト
第8章 ウそツき 【瀬山宗助】
 俺は時として今のように、仲間たちの愚痴を聞いたり様子を心配したりする。可笑しな言い方をすれば、それは俺にとって楽だと言えた。

 役割を振られ、それに応じる。俺の中で動機が見つからなくとも、仲間という関係がそれを覆い隠してくれた。その風景に紛れることで、俺の気分は楽になれた。

 集団の中の自分を相対的に映し、そこに行動原理を見出す。それは俺ほど極端でないにせよ、誰しも少なからずしていることだろう。だから俺が仲間たちに応えるのも、別に嘘ではなかった。

 只、どれほど奴らを近しく感じているかと言えば、俺はその距離を測ろうと試みたことはない。敢えて俺は、そうしようとはしなかった。

 そして俺は常に、そこに浸っていようとは思わない。そうすれば何れ――面倒になり、憂鬱になる。だから何時でも、バランスは大事なことだった。


 授業が進み、午後になる。教室が窮屈に思えた俺は一人、図書室に向かった。

 本棚から読まない本を手に取る。長机の端の席に着くと、それを枕にして目を閉じた。

「……」

 だが眠りはしない。俺はどうしようかと、少し迷っていた。

 このまま帰るか、部活に出るか――を。

 バスケに興じることは楽しかった。俺はバスケが好きだった。

 しかし昨日――俺は堂林に、あんな風に言ってしまっている。それを少なからず、気に病んでいた。


 俺は奴を打ちのめしながら、一方では奴に打ちのめされてしまっている。
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