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クラス ×イト
第8章 ウそツき 【瀬山宗助】
それでも別に、適当に言ったつもりはない。直感的ではあったとしても、俺は確かにそう感じていたのだ。
それに対する、藍山の言葉は――
「仮に本心で言っているのなら……貴方も『途中』だということになる」
「……?」
まるで、意味不明。だが不思議と、心に引っ掛かるものがあった。
「それ――どういう意味だよ?」
「意味ではなく、単なる事実。わからないのなら、気にする必要も――きっと、ない」
静かにそう語った藍山からは、それ以上の意図を聞きだせそうな気配はなかった。
「じゃあ、私はこれで――」
と、藍山は読んでいた本を、鞄に仕舞う。
「待てよ。帰る前に、俺の質問にも答えていけ」
「質問?」
「好きな奴がいるかって――最初に訊いただろ」
「からかい半分のそれを、真面に相手にすることはない――そう思ったのだけれど」
「からかってないさ。少なくとも、今はな――」
俺が真剣な顔で見据えると、藍山はポツリと言った。
「わからない」
「……」
結局は、はぐらかされたか……。そう思うが、流石に仕方がなかった。急にそれを訊ねた俺に、正直な気持ちを打ち明ける筈もない。
だがそれなら「いない」と言っておけば、いいんじゃ……。俺がそんな風に、感じていた時だった。
「瀬山!」
と、俺を呼ぶ声が静かな図書室に響く。
それに対する、藍山の言葉は――
「仮に本心で言っているのなら……貴方も『途中』だということになる」
「……?」
まるで、意味不明。だが不思議と、心に引っ掛かるものがあった。
「それ――どういう意味だよ?」
「意味ではなく、単なる事実。わからないのなら、気にする必要も――きっと、ない」
静かにそう語った藍山からは、それ以上の意図を聞きだせそうな気配はなかった。
「じゃあ、私はこれで――」
と、藍山は読んでいた本を、鞄に仕舞う。
「待てよ。帰る前に、俺の質問にも答えていけ」
「質問?」
「好きな奴がいるかって――最初に訊いただろ」
「からかい半分のそれを、真面に相手にすることはない――そう思ったのだけれど」
「からかってないさ。少なくとも、今はな――」
俺が真剣な顔で見据えると、藍山はポツリと言った。
「わからない」
「……」
結局は、はぐらかされたか……。そう思うが、流石に仕方がなかった。急にそれを訊ねた俺に、正直な気持ちを打ち明ける筈もない。
だがそれなら「いない」と言っておけば、いいんじゃ……。俺がそんな風に、感じていた時だった。
「瀬山!」
と、俺を呼ぶ声が静かな図書室に響く。