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クラス ×イト
第2章 だメンず 【乾英太1】
職員室の前の廊下――。
ドアの小窓から、僕はそっと中を窺う。
「……」
そこで見えたのは、要二の背中。頻りに話をしている木村先生の前で、要二は黙って俯いてる。その背中が少しだけ寂しそうに見えたのは、僕の気のせい……なのかな。
それにしても、こんな時期に何の話だろうか。その様子を見た僕は、そんな疑問を抱いた。
進路相談なんて、まだ先の話なのだし。要二は口が悪い処はあっても、何か問題を起こすような奴ではなかった。
とにかく、まだ時間はかかりそう。気にはなるけど、明日本人に聞いてみればいいや。そう感じた僕は、教室に戻り三生と一緒に帰ろうと考えた。
そうしてそれは、図書室の前を通りかかった時のこと。
「――!」
僕は図書室から出て来た女子に気づかずに、肩をぶつけてしまい。バサッ――と、その拍子。彼女が手にしていた本が、廊下の床に落ちた。
「あっ、ごめ――!」
慌ててその本を拾うと、それを手渡そうと顔を見て、僕は言葉を止める。
そこに立っていたのが、藍山栞だったから――だ。
「……」
藍山さんは黙って、僕の手からその本を受け取っただけ。でもその場を去ろうともせず、じいっと僕の顔を見つめていた。
「あ……あの」
僕の心臓がドキドキと高鳴る。何かを言おうとして、だけど頭の中は真っ白で……。
あ、僕の方が、少し背が高いみたい。そんな関係のないことだけを、密かに確認している。
するとその時――藍山さんは、ポツリと言った。
「前にもこんなことが、あったの――憶えてる?」
「え……?」
ドアの小窓から、僕はそっと中を窺う。
「……」
そこで見えたのは、要二の背中。頻りに話をしている木村先生の前で、要二は黙って俯いてる。その背中が少しだけ寂しそうに見えたのは、僕の気のせい……なのかな。
それにしても、こんな時期に何の話だろうか。その様子を見た僕は、そんな疑問を抱いた。
進路相談なんて、まだ先の話なのだし。要二は口が悪い処はあっても、何か問題を起こすような奴ではなかった。
とにかく、まだ時間はかかりそう。気にはなるけど、明日本人に聞いてみればいいや。そう感じた僕は、教室に戻り三生と一緒に帰ろうと考えた。
そうしてそれは、図書室の前を通りかかった時のこと。
「――!」
僕は図書室から出て来た女子に気づかずに、肩をぶつけてしまい。バサッ――と、その拍子。彼女が手にしていた本が、廊下の床に落ちた。
「あっ、ごめ――!」
慌ててその本を拾うと、それを手渡そうと顔を見て、僕は言葉を止める。
そこに立っていたのが、藍山栞だったから――だ。
「……」
藍山さんは黙って、僕の手からその本を受け取っただけ。でもその場を去ろうともせず、じいっと僕の顔を見つめていた。
「あ……あの」
僕の心臓がドキドキと高鳴る。何かを言おうとして、だけど頭の中は真っ白で……。
あ、僕の方が、少し背が高いみたい。そんな関係のないことだけを、密かに確認している。
するとその時――藍山さんは、ポツリと言った。
「前にもこんなことが、あったの――憶えてる?」
「え……?」