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クラス ×イト
第2章 だメンず 【乾英太1】
 彼女のその言葉は意外だったけど、僕だってもちろん憶えていた。


 それはたぶん、半年くらい前のこと。やっぱりこうして、青山さんと肩をぶつけて。

 でも今と違うのは、その時に床に落ちたのは、本でなくノートであり。そして落としたのは、僕の方だったいう点。

 その時の藍山さんは、ノートを拾うと頁をパラリと捲りその中身を見た。

 その様子を目にした僕は、とても焦ってしまう。だってそれは、授業に使う普通のノートとは違っていたから……。

 それは、見られるのが恥ずかしいという一心。気がつけば僕は、彼女の手にしてるノートを強引に奪い取ってしまったんだ。

 その瞬間――彼女は少し驚いたように、僕を見つめ。

 二人の間の微妙な空気を、僕は今でもはっきりと憶えている。

 だけど――ううん。だから――なのだろう。


「いや……と、特に、憶えはないけど……」

 僕は口籠りながらも、そう惚けてしまった。それはきっと、あの時の自分の態度が嫌だと感じているから……。

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