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クラス ×イト
第8章 ウそツき 【瀬山宗助】

「お前、いくらなんでも最近サボり過ぎだろ。来年になれば、俺たちだって受験生なんだぞ。この高校だと、そう成績も下がらないから錯覚するんだよ。呑気にしてとあっという間に、全国のレベルから取り残されることになる」

「たぶん、理系は捨てる。それでもヤバそうな時は、塾にでも行くよ」

 一応そう言いながらも、進学のことなんて正直まだ俺の頭にはなかった。

「端から私立かよ。あーあ、金持ちは気楽だぜ。だがな――あまり受験を舐めるなよ」

 西は高校受験で、苦い想いをしている。様々な不運が重なって、第一志望の高校に行くことは叶わなかったのだ。俺にこんな説教をするのも、その経験を踏まえてのことだろう。

 だが西はそれを嘆く訳でもなく、現在まで校内では常に成績トップを堅持していた。

 この男とは、小学生時分からの付き合いになる。ガキの頃から頭が良く、自信家で負けず嫌いで、自分にも他人にも厳しい。何事にも臆せず言い難いことをズバリと言ったりするから、周囲の大人からすればさぞかし小生意気な子供だったことだろう。

 その性質もあって、同い年の中ではかなり異質な存在だ。敬遠する連中も多く、付き合う相手は自然と限られる。その一人が俺だ。

 長く付き合ってきた俺だから、良く知っている。西は単に口五月蠅く、気難しいだけではなかった。その実は正義感に溢れ、情に深い男だということ。

 こんな言葉は今更、好んで使いたくはない。それでも端的に言い表せというのなら、西は俺の『親友』であった。
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