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クラス ×イト
第8章 ウそツき 【瀬山宗助】
 西の性質を改めて考えた時に、やはり少し違和感を覚えしまった。自信家であるこの男らしくない。とても慎重だと感じる。

 それはさっきまで俺と話していた――藍山栞に対してのことだ。

 周囲の連中が色気づき始めていた中学の頃。「女なんて、何がいいんだ」とは、西の口癖であった。

 そんな西が今初めて、藍山栞という異性を意識している。それが恋愛感情だと仮定して。この西をしても、やはり戸惑いを感じてのことなのか。

 俺は不意にその辺りを、質したくなった。

「話を蒸し返すようで悪いが、お前――藍山のこと、どう思ってる?」

「何故、お前がそれを気にする?」

「先に訊いたのは――俺だな」

 西はチッと舌打ちをして、それからこう答えた。

「アイツ、クラスの誰とも関わろうとしない。だから少し気にかけた。俺は一応、クラスの委員長なんてやってるからな。初めは、それだけのこと。それが今は、少しだけ事情が変わってきた。そんな処だ」

「お前にしては、はっきり言わないんだな」

「五月蠅せえよ。それで――お前がそれを気にする理由を言え」

「俺が藍山に、興味があるから――と、言ったら」

「なんだと! お前には赤緒が――」

 と、言いかけて西は言葉を止めた。それから、ふっと笑うと――

「――まあそれは、お前の勝手か。だが俺は、負けるつもりなど全くないが」

 何時ものような自信を顔に携え、そう言い切る。

 その様子を眺め――

「……」

 一体、何がしたかった? 俺は思わず、そう自問。

 ともかく藍山の件については、西を焚き付ける結果となったのは確からしいが……。 
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