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クラス ×イト
第8章 ウそツき 【瀬山宗助】
 図書室で勉強をするという西と別れ、俺は置きっぱなしの鞄を取りに教室に戻る。もう練習が始まっている時間だから、当面今日は部活はパス。そのまま帰ろうと、考えていた。

 そうして、俺が教室に入ったその時のことだ。


「どうして、そんな言い方するの?」

 只ならぬ声のトーンで、それを言ったのは――山村佳奈。

 それとは対照的に、その話相手である礼華は至ってクールだった。

「私は感じたことを言っているだけ。それが、いけないの?」

「私は本気で悩んでるんだよ。人が相談してるのに――礼華は、私のこと馬鹿してるっ!」

「馬鹿になんてしてない。だけど、そう感じるとしたら――佳奈が自分のこと愚かだって、そう認めてるからじゃない?」

「なにそれ……ムカつく」

 山村は肩を怒らせ、身体を震わせている。礼華をキッと睨みつけるその瞳からは、涙が頬へと伝っていた。


「オイ――どうした?」

 見兼ねた俺が割って入ると、二人は互いにパッと顔を背ける。その間の空気が、ピリピリ張り詰めていた。

 そして、礼華は――

「なんでもないわ。瀬山――今日は、これで帰りましょう」

 そう言って、俺の腕を引く。
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