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クラス ×イト
第8章 ウそツき 【瀬山宗助】
「礼華……?」
この状況を前にすれば、流石に俺だってやや戸惑っていた。それでも礼華の勢いに負け、そのまま教室を出ようとしている。
そこで別れ際の二人は再度、互いの想いを交錯させた。
「私――よく、わかった。いくら、憧れたって……礼華は私のことなんて、まるで眼中にないんだね」
山村は、そう言い――
「それは、お互い様。佳奈だって、私の表面しか見ていないから」
礼華もまた、そう応じている。
「山村――あのままで、良かったのか?」
先にツカツカと歩いている礼華の背中に、俺は訊ねた。
「いいの」
「山村の言ってた、相談って?」
「瀬山が気にするほどのことじゃないわ。一言でいえば――子供じみた、恋愛のいざこざ」
「そう思うなら、礼華の方がレベルを合わせてやれよ。お前まで、剥きになる必要もないだろ」
俺が何気にそう言うと、礼華はピタッとその足を止める。
「私がとっくに失くしたものを、見せつけられた気がして……。それがとても――不快だった」
「礼華……」
俺が礼華のこんな姿を見るのは、久しぶりのことだった。
そして、礼華はじっと俯いたまま、俺にこう告げる。
「また――夢を見そうで怖い。瀬山……お願い。今夜は、一緒にいてくれる」
「……わかった」
やや間を置いたのは、迷ったからではなかった。俺がそれを拒否することはない。
こんな時、礼華に応じるのは俺の役目――否、俺の負い目だった。
この状況を前にすれば、流石に俺だってやや戸惑っていた。それでも礼華の勢いに負け、そのまま教室を出ようとしている。
そこで別れ際の二人は再度、互いの想いを交錯させた。
「私――よく、わかった。いくら、憧れたって……礼華は私のことなんて、まるで眼中にないんだね」
山村は、そう言い――
「それは、お互い様。佳奈だって、私の表面しか見ていないから」
礼華もまた、そう応じている。
「山村――あのままで、良かったのか?」
先にツカツカと歩いている礼華の背中に、俺は訊ねた。
「いいの」
「山村の言ってた、相談って?」
「瀬山が気にするほどのことじゃないわ。一言でいえば――子供じみた、恋愛のいざこざ」
「そう思うなら、礼華の方がレベルを合わせてやれよ。お前まで、剥きになる必要もないだろ」
俺が何気にそう言うと、礼華はピタッとその足を止める。
「私がとっくに失くしたものを、見せつけられた気がして……。それがとても――不快だった」
「礼華……」
俺が礼華のこんな姿を見るのは、久しぶりのことだった。
そして、礼華はじっと俯いたまま、俺にこう告げる。
「また――夢を見そうで怖い。瀬山……お願い。今夜は、一緒にいてくれる」
「……わかった」
やや間を置いたのは、迷ったからではなかった。俺がそれを拒否することはない。
こんな時、礼華に応じるのは俺の役目――否、俺の負い目だった。