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クラス ×イト
第8章 ウそツき 【瀬山宗助】
家の中に入ると、酒の匂いがしている。父親は酔って赤らんだ顔だったが、それでも顔色は変わっていたのかもしれない。
俺という存在に恐縮しているのは、間違いなかった。
「こ、これは……とんだ、ご無沙汰を――」
「話しかけないで!」
礼華は父親を、そう一括。
唖然とする父親に構わず、礼華は俺を自分の部屋に招き入れる。とは言っても父親が居た居間と隣接し、隔てるものは薄い一枚の引き戸だけだった。
その六畳の和室は、まるで衣裳部屋。部屋半分を占めるポールハンガーには、色取り取りの洋服がズラリとかけられている。もちろん、全て礼華の服だ。
それらに追いやられるように、ベッドと脚の低い小さなテーブルが一脚。その狭い移住スペースにしても、生活の匂いは感じさせず。礼華があまり部屋に帰ってないことを、俺は何となく悟っていた。
「適当に、座って」
と、そう言われ――
「ああ……」
ベッドの上に腰掛けると、礼華も少し間を開けてそこに並ぶ。
安物のパイプベッドが、キシリと音を鳴らしていた。
俺という存在に恐縮しているのは、間違いなかった。
「こ、これは……とんだ、ご無沙汰を――」
「話しかけないで!」
礼華は父親を、そう一括。
唖然とする父親に構わず、礼華は俺を自分の部屋に招き入れる。とは言っても父親が居た居間と隣接し、隔てるものは薄い一枚の引き戸だけだった。
その六畳の和室は、まるで衣裳部屋。部屋半分を占めるポールハンガーには、色取り取りの洋服がズラリとかけられている。もちろん、全て礼華の服だ。
それらに追いやられるように、ベッドと脚の低い小さなテーブルが一脚。その狭い移住スペースにしても、生活の匂いは感じさせず。礼華があまり部屋に帰ってないことを、俺は何となく悟っていた。
「適当に、座って」
と、そう言われ――
「ああ……」
ベッドの上に腰掛けると、礼華も少し間を開けてそこに並ぶ。
安物のパイプベッドが、キシリと音を鳴らしていた。