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クラス ×イト
第8章 ウそツき 【瀬山宗助】
があっ――かあっ――。
「……」
部屋を出た俺が目を止めたのが、居間に大の字になって寝ている――礼華の父親。
その周囲には、焼酎の空き瓶が転がっていた。
昨日も今日も平日。確か塗装工場で、仕事をしていた筈じゃ……。
俺はそんなことを気にかけながらも、礼華の家を後にした。
※ ※
その日の午前中は、何となく頭がぼーっとしていた。半分、居眠りしたような形で、何とか午前中の授業を過ごす。それではあまり、何時もとの大差はないが……。
それでも、やはり若干の疲労が残っていた。昨日は色々な面で、普段と違っていたからだろう。
礼華は山村と仲直りしている――とは、言い難い。あれだけの衝突をしているのだから、僅かな時間の会話でそれが解消される訳もなかった。
それでも昼休みの現在――二人は前後の席で、言葉を交わす。珍しく会話を先導する礼華に対し、わだかまりを感じさせるのは山村の方に見えた。
他の仲間の風景も、あまり芳しくはないらしい。
裕樹は今日も、その輪に加わろうとせず。
護は何となくだが、市原に逃げ込むような感じだった。
他に気になることと言えば、西と藍山。相変わらずあまり相手にはされてないが、西はこれ見よがしに藍山の席で頻りに話しかけ続けている。
まあ、今日はいいか……。そんな様子を横目に、席を立った俺は静かに教室を出て行った。