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クラス ×イト
第8章 ウそツき 【瀬山宗助】
適当な木陰を選び、俺は来る途中で買ったパンを無造作に噛りつく。その隣に座る乾は、持参した弁当を開きいそいそと箸を進ませていた。
暫くそうして腹を満たしていると、先に居心地の悪さを覚えたのは乾の方らしい。
乾は箸を持つ手を止めて――
「僕と食べてても、楽しくないよね?」
「俺が誘ったんだから、そんなの気にするなよ」
「そうなんだけど、ね。こういうの、慣れてないから」
と、乾は俯いて、そんなことを呟いた。
その繊細そうな横顔を何気に、眺めた俺。ふと艶々とした髪の上に、小さな葉っぱがついていることに気がつく。
俺は手を伸ばして、それを摘まみ――
「コレ――ついてた」
と、乾に見せた。
「あ――どうも、あ、ありがとう」
たったそれだけのことに、乾は大袈裟に礼を言う。照れたように顔を背けると、その頬を俄かに赤らめていた。
「……」
その様子をじっと見つめてから、俺はこう訊ねる。
「まだ――悩んでるのか?」
「あ、いや……ううん、やっぱり、そうなのかな。この前は瀬山くんに、せっかく話を聞いてもらったのに……」
「藍山のこと?」
「それも含め……色々、かな」
何かにじっと耐えるようなその顔を見て、俺は不意にこう囁きかけた。
「なんかさ――俺、お前に悪いことしてるのかも、しれない」
暫くそうして腹を満たしていると、先に居心地の悪さを覚えたのは乾の方らしい。
乾は箸を持つ手を止めて――
「僕と食べてても、楽しくないよね?」
「俺が誘ったんだから、そんなの気にするなよ」
「そうなんだけど、ね。こういうの、慣れてないから」
と、乾は俯いて、そんなことを呟いた。
その繊細そうな横顔を何気に、眺めた俺。ふと艶々とした髪の上に、小さな葉っぱがついていることに気がつく。
俺は手を伸ばして、それを摘まみ――
「コレ――ついてた」
と、乾に見せた。
「あ――どうも、あ、ありがとう」
たったそれだけのことに、乾は大袈裟に礼を言う。照れたように顔を背けると、その頬を俄かに赤らめていた。
「……」
その様子をじっと見つめてから、俺はこう訊ねる。
「まだ――悩んでるのか?」
「あ、いや……ううん、やっぱり、そうなのかな。この前は瀬山くんに、せっかく話を聞いてもらったのに……」
「藍山のこと?」
「それも含め……色々、かな」
何かにじっと耐えるようなその顔を見て、俺は不意にこう囁きかけた。
「なんかさ――俺、お前に悪いことしてるのかも、しれない」