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クラス ×イト
第9章 けつダン 【去河要二】
「俺――休学することにした」
「……!?」
やや言葉が直球すぎたらしいな。英太はポカンと口なんか開けて、いつも以上に締まらない面を晒してやがる。
だが、驚くのも無理もないか……。
「オイ、聞いてのるか?」
「え、うん……。だけど……休学って?」
「学校を一定期間休む――ということだが」
「意味は知ってるよ。そうじゃなく――要二が……なんで?」
そう訊かれて、俺は一通りの事情を話すことにした。
俺の家は、青果店を営んでいる。地元の商店街にある、個人経営の小さな店だ。親父とお袋の二人で何とか切り盛りしているが……。こんなご時世だから、その経営が楽なはずがない。それは俺だって知っていた。
地元の農家と連携したり惣菜を手作りしたり、一応工夫はしてたらしい。だがそれくらいで、大型のスーパーに対抗しようもないだろう。大体、商店街自体が『シャッター通り』なんて呼ばれてるんだし……。
そんなお先真っ暗な店だから、もちろんそれを俺が継ごうなんて考えてなかった。高校を出たら、専門学校でも行って適当に就職。何となくだが、そんな感じなんだろ――って、少し前まで、俺はそう思っていた。
だが、その事情は大きく変わる。それは、ほんの二週間くらい前の話。久しぶりに、健康診断なんてもんを受診した俺の親父――。
その身体に――癌が、発見されていたんだ。