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クラス ×イト
第9章 けつダン 【去河要二】
 俺自身、それを簡単に決めた訳じゃねえ。俺なりに随分と悩んだ末のことだ。

 このところの朝晩、実際に店の手伝いに入ってわかったことがある。青果店だからって何も店先に立って、客の相手をしてればいいってもんじゃねえ。仕入れだって陳列だって金勘定だって、他にも覚えなきゃならないことは山ほどあるんだ。

 どれも今までの俺が、知らなかったことだらけだった。

 それを目の前にすれば、バカな俺でも気がつく。親父が入院すれば、お袋はその世話だってすることになる。生半可な気持ちで手伝いなんて言っても、そんなの何の役にも立たねえって……。


「要二……」

 英太は何とも言えずに、困ったようにしてた。ほっとけばコイツ、泣き出すんじゃねーのか。

 仕方ねえから、その顔を見て――俺は笑ってやったんだ。

「お前が、そんな面してどうすんだよ」

「だけど……ねえ、僕にも何か手伝えないかな?」

「バーカ。ドンくさいお前の手なんか、借りるかよ」

「そ、それって酷くない。僕だって――」

「英太――」

「な、なに?」

「これは、俺の問題なんだよ」

「要二……」

「一足先に、大人になる――それだけの、ことだろ?」

 畜生……これは、英太のせいだからな。

 俺としては柄でもなく、カッコよさげなことを口走っちまっただろうが……。
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