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クラス ×イト
第9章 けつダン 【去河要二】
「――!?」

 佐倉先生は、驚いたようにして顔色を変えてた。それは今度こそ俺の気持ちが、正確に伝わった証拠。

 だがそれだけでは、やはり越えられない壁ってやつが、あるんだろ。先生が俺のことどう思ってるのかって、それ以前の部分に於いてだ。

 だから佐倉先生は、優しく微笑むんだ。その顔はとても綺麗だったけども、それはやはり俺には大人の顔に見えた。

「先生ね――今とても、嬉しいの。ううん、清々しいって言うべきなのかな。だからこそ、去河くんの気持ちは真っ直ぐ過ぎて――凄く眩しいって感じてしまうの。たぶん先生は、もう……君と同じような気持には、なれないってことだと思うわ」

「……」

「ありがとうね。それと、ごめんなさ――」

「先生!」

 俺が先生の言葉を遮ったのは、別にフラれるのが怖かったわけじゃねえ。つーか、このままじゃフラれて落ち込むことすら、できそうもなかったから……。

「俺だってよ……先生と付き合えるなんて、そう思うほど脳天気な奴じゃねえ。だが、違うんだよ。それじゃ、足りねーんだ!」

「……?」

「キショオタが何言ってやがるとか、デブは勘弁って、別にそれだっていいんだ。だからさ……頼むから、ちゃんとフッてくれよ。ガキの初恋がどうとか、生徒と教師だからとか……そんな理由じゃ、嫌だから……」

「去河……くん?」

 その時の佐倉先生は、俺が何を言ってるのか、わからなかったんだろうな……。

 だが、ともかく――


「俺はもう、大人になるって――そう決めてんだよ!」


 俺は自分の想いだけは、全て吐き出せたんだと思う。
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