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クラス ×イト
第9章 けつダン 【去河要二】
 こんな時に限って、空気を読まねえ奴に出くわすもんだから、それこそ最悪だ。

「ヨウ、去河」

「――!」

 階段を昇ろうとする俺に声をかけてきたのは、同じクラスの――佐川琢己(さがわ たくみ)。

 佐川はニヤニヤとしながら、俺の行く手を遮ってやがる。

「今、お前――佐倉先生と話してたよな」

「だから、どうした。お前には、関係ねーだろ」

「だって、気になるじゃん? なにせ、お前はさあ――ククク」

 そう言いながら佐川は、下品に笑ってる。そんな無神経で無遠慮なコイツのことが、俺は前々から大嫌いだった。

 例の歴史の授業の後にも、佐川は何かと俺を冷かしていやがる。そう言えばあの時、最初に佐倉先生に絡んでいたのも、このバカだったな、と思い出す。普段なら相手にするのも、アホらしいが……。

 この時の気分も手伝い、俺は無性に佐川に腹が立っちまったんだ。


「邪魔だから、そこを退けよ」

 俺は不意に、佐川の身体をドンと小突く。

 それが、きっかけとなり――


「なにしてんだ。ああっ、このデブ!」


「なんだとぉ、この下衆野郎がっ!」


 俺たちは、取っ組み合いの喧嘩を始めていた。


「どうしたの!? 二人とも、止めなさい!」


 そう言って仲裁に入った佐倉先生にも、構うこともできず――。


「舐めてんじゃねーぞ! このクズ!」


 俺は哀れで無様なまでに、怒りをぶちまけて暴れまくっていた。
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