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クラス ×イト
第9章 けつダン 【去河要二】
「先生――ちゃんと、説教してやってよ」
責任を免れた佐川は、そう言い残して先に職員室を後にしていた。
残された俺を、北村と――その横の佐倉先生が、じっと眺めている。
「……」
職員室という大人たちの場所で、一人立ち尽くす俺。佐倉先生の気持ちを聞いた後だけに、何とも言えずに居心地が悪かった。
暫くして、腕組みをしながら、北村が俺に話し始める。
「俺もな……お前が理由もなく人を殴ったりするとは思ってないぞ。だから何かあったのなら、些細なことでもいい――話してみないか」
「だから……なんも、ねえって」
俺は顔を背けて、そう答えた。その時――
「あの、北村先生――」
「――!」
割って入った佐倉先生に、俺は驚く。
「佐倉先生、なにか?」
北村がそう応じると、佐倉先生は申し訳なさそうに、こう話した。
「私がいけなかったんです。去河くんのこと、動揺させてしまって……。だから、去河くんを叱らないでください」
「一体、どういうことですか?」
そう問い直す北村。
ダメだよ、先生……。俺を庇おうとしてるのは有難いが、どの道この流れで全部を話すのは違うだろ。
そう感じた俺は、北村を睨みこう言った。
「先生! 男ならさ、ペラペラ話せばそれでいいってもんじゃねーだろ。悪いのは俺だって言ってるんだ。停学でも何でも、さっさと処分してくれ。どうせ、休学するんだから、今更何も怖くねえよ!」