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クラス ×イト
第9章 けつダン 【去河要二】
「どうも、お騒がせしました」
一応は殊勝な感じでそう一礼し、俺は職員室を後にする。そうして、ホッと一息ついた時だ。
「要二……」
「要二くん……」
そこで俺を出迎えたのは、見慣れた二つの冴えない顔。言わずと知れた『D3』の構成員(?)――乾英太と喜嶋三生だ。
只でさえ珍妙な凸凹コンビが、不安そうな面をぶら下げてやがるもんだから、俺は思わず吹き出しそうになった。だがそれも、安心の裏返しってやつか……。
「別に大したことねーから、心配すんなよ」
俺がそう言うと、二人は顔を見合わせた。そして張本人の俺以上に、大きく胸を撫で下ろしていやがる。
「……」
そんな様子を見て、俺は柄でもなく思っていた。ダサくて頼りないが、コイツらはやっぱり……。
「それより、お前ら――覚悟はできてるのかよ」
「覚悟?」
「要二くん。それ、どういう意味なの?」
キョトンとする二人を前にして――
「『D3』の精神的な支柱である処の、この俺様だったが……。悪いが明日からは、面倒は見てやれねえんだ。あの教室という名の戦場で、お前らがちゃんと生き残れるのか。俺はそれを心配してるんだぜ」
思いっきりの上から目線で、俺はそう語った。
すると――
「そんなの、平気だよ。ねえ――三生」
「そうだよ。そんな心配はいらないから、要二くんは家のことを頑張ってね」
二人は健気にも、そんな風に言ってる。たぶん不安には違いないが、一人前に俺に気を回しているんだろう。
「要二――これからも、僕らは仲間でしょ」
最後に英太にそう訊かれて、俺はもちろん即答した。
「そんなの、当然だろ」