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クラス ×イト
第9章 けつダン 【去河要二】

    ※    ※


 そんな訳で休学した俺は、実家の青果店での苦闘の日々を送っていた。

 親父が入院してからは、想像以上にキツい。まだ全てに慣れない俺は、お袋のフォローをするので精一杯だった。それでも自分のやるべきことが、何となく見え始めてはいた。

 そうして、二週間ほど経った頃のこと。

 俺は店を閉めた後の夜間に、教習所へと通い始めている。本来なら軽トラを運転すべく車の免許が欲しいのだが、それは年齢的に来年まで無理。それでも機動力は必要だと感じて、当面はバイクの免許取得を目指すことにした。

 そんなある夜、教習を終えた後だった。教習所から出た道端で、その姿を見つけた俺はギョッとすることになる。


「あ、いたいたぁ。去河くん、こんばんはー」

「え……な、なんで?」

「乾くんから、聞いてるのよ。去河がこの教習所に免許を取りに来てるって、ね」

「英太から……それにしたって……どうして、先生が?」

「なぁに? 会いに来ちゃ、いけなかったのぉ」

「い、いや……」

 そうじゃねえけど……。俺の前に突如、現れたのは、佐倉先生だった。

 けどよ……この様子、どう考えても変……だろ?


「ウフフ――ちょっと、お話でもしよっか」

「――!?」


 俺に顔を寄せた先生は、ほのかに酒の匂いがしていた。
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