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クラス ×イト
第2章 だメンず 【乾英太1】
 僕は赤緒さんの視線を避けるようにして、三生の顔を見て訊ねた。

「ど、どうかしたの?」

 すると三生は、すがるような顔をして僕に言う。

「僕、ここに座ったまま、英太くん待っていただけなんだ。そしたら、赤緒さんたちが入って来て……僕のこと気がつかなかったみたいで……」

「それで……?」

「だから、悪気があったわけじゃなくて……ただ、声をかけられなかったから……ホントにそれだけなんだ」

「……?」

 三生はとても狼狽えていて。どういうことなのか、僕にははっきりとはわからない。

 でも、僕は少し考えて――たぶん、こんな感じなのだと理解する。

 三生は窓際の床に座って、僕や要二を待っていた。そこに入って来た赤緒さんは、どうやら三生には気づかなかったみたい。

 そこで彼女は、何か話をした。その話し相手は、さっき教室から出て行った瀬山くん――なのだろう。

 何の話かは知らないけど、それはきっと聞かれては困る話。それは赤緒さんの態度に、よく表れていた。

 そして、僕と三生のやり取りを黙って聞いた後――赤緒さんが、ついにその口を開く。


「悪気がないとか――どうでもいいんだけど、ね」 


 彼女は華やかな髪を手を弄りながら、気怠そうにそう切り出していた。
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