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クラス ×イト
第9章 けつダン 【去河要二】
 ラーメン屋を出た後のこと――。

「なあ……大丈夫かよ?」

「あははは。平気、平気」

 どうやら佐倉先生は、酒に弱いらしい。その歩く姿は、危なっかしいくらいにフラフラとしていた。

 笑って「平気」なんて言ってた直後。ヒールを履いてる足が、歩道からはみ出しそうになり――。

 それに気がついた俺は――

「危なねえって!」

 咄嗟に、その腕を掴んでいた。

 その時、すぐ横を走り抜けた車が、けたたましくクラクションを鳴らす。

「うるさーい!」

 その車に向けて、叫ぶ佐倉先生。

「オイ……先生。よせよ」

「あはは……ゴメン、ゴメン」

 そう言ってよろめいた頭が、俺の肩にもたれた。

 すると俺の耳元で、佐倉先生が囁く。

「ちょっとだけ、酔っちゃった。去河くん、先生のこと――送ってくれない、かな?」

「え……でもよ」

「お願い」

 確かに、一人じゃ心配だしな……。

「わ、わかったよ」

 そう答えながらも――俺の心臓は、これでもかと激しく鼓動していた。
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