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クラス ×イト
第9章 けつダン 【去河要二】
 その味に混ざり、圧倒的に艶めかしいダイレクトな感触――。

 先生の柔らかな唇が溶け出すように吸い着くと、俺の口の中に濡れた舌が差し込まれていた。

「ふっ――!」

 俺は只々、驚き狼狽え――憧れの唇を、自分から遠ざけように身体を離す。

「せ、先生……」

 驚く俺の顔を見つめ、

 くす――。

 佐倉先生は、とても色っぽく微笑む。

 そして――

「先生じゃないよ。今の私は――佐倉瑞穂という、一人の女だから」

 俺にキスした艶々としたその唇で、そう話した。

「よせよ……酔って、からかうなんて」

「確かに自棄気味な気分だけれど、決してそれだけじゃないわ」

「じゃあ……?」

「君は私に言ったね――『大人になる』って……」

「ああ、言った……な」

「私は、その背中を押してあげたい――と、思うの」

「俺は別に……そんなつもりじゃ――!?」

 俺がそう言いかけた時――

 佐倉先生は、俺の身体をギュッと抱きしめた。


「私じゃ……ダメ?」


 ……ダメなわけ……ねえだろ。


 耳元で呟かれた言葉が、俺を引き返せなくした。
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