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クラス ×イト
第9章 けつダン 【去河要二】
※ ※
そんなことも、ありまして――とか?
あーあ、こんなスペシャルな話を披露した後に、一体何を語れって言うんだよ。
とにかく、俺は最高の初体験ってもんを体験してる――けども。だがこの先に待つのは、やっぱ厳しい現実ってやつで。それを考えると、少し憂鬱だったりしている。
それでも、挫けていたら大人にはなれねえ。そしたら、いつまで経っても佐倉先生には……。
「……」
俺が大人なるのを、先生が都合よく待ってるだなんて、いくらなんでもあり得ねえ話だ。それくらい、ちゃんと知ってるよ。
だがそこん処は――夢見る気持ちは、ガキのまま。それだって、別にいいんだろ。それまでに、もう少し痩せてたりして、少しは見た目もましになっておこうか、なんて。
俺はそんな風に、前向きに考えたりしていたんだ。
そんな俺を珍客が訊ねて来たのは、その次の週――俺が店先で、客の相手をしていた時だった。
「英太――?」
俺は店の脇にモジモジとしている、その姿を見つける。だが別に来ていたのが英太だけなら、俺だって不思議には思わねえ。
俺が意外に思ったのは、英太の背後にいた奴の顔を見たから。
「どうも――お久しぶり」
澄ました顔で、お座なりの挨拶をしてきたのは――藍山栞だった。