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クラス ×イト
第10章 せッきン 【藍山栞2】
 そんな瀬山くんに、期せずして私は言う。

「何かを面白がろうというつもりなら、やめて欲しい。迷惑、だから……」

「お前でも、困ることあるのか?」

「そんなの――当然」

 こんな私にだって、感情がない訳じゃない。それは確かにある。只、心の揺らいだ方向。それがどちらに向いたものか、わからずにいるから余計に……。

 それだから、きっと――とても、私は困るのだ。

「西のこと、少しは意識してる? それとも――」

 そう話す瀬山くん――その延長線上に、私は彼女の視線を認めた。

「もう、いいから」

 私は強引に会話を切り上げ、視線を本へと戻す。

 その背中に感じてるのは、瀬山くんのため息と――赤緒礼華の刺さるような、鋭い視線。


「……」

 赤緒さんが複雑な想いを持っているのは、何となくわかっていた。

 そして今の刹那――赤緒さんが滲ませていたのは、明確なる敵意。

 私には、そう思えていた。
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