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クラス ×イト
第10章 せッきン 【藍山栞2】
 トイレから戻った私は、何時もの窓際の席に座った。

「……」

 教室にいて、只何となく周囲を見渡してみても、それは気づかないもの……。

 クラスメイトの皆は何時ものように、笑ったり騒いだり。けれどそれも、真の自分を覆う表層だったりしているの、だろうか。

 この小さな集団の中で、互いに依存し影響し、支え合いぶつかり合い、時には傷つけ合って……。

 そうして今だって、その感情たちは――きっと、蠢いていた。

 山村佳奈、赤緒礼華、西慶介、瀬山宗助――私が目にしたそれらの変化も、その中のほんの一角なのだろう。

 その中に深く関わろうとしない、止まったままの私。そんな私にすら、若さ故の隠し尽くせない彼らの想いの欠片が、形無き何かを刻もうとしている、ようで……。


 私は、このままで、いいの?


 私はふとそんな自問を、深い井戸のような心の中へと――落としていた。
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