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クラス ×イト
第10章 せッきン 【藍山栞2】
 その日の帰り、学校を出た通りを進む私。と、その横には――

「……」

「……」

 乾くんが、微妙な感覚を開けて歩いていた。会話のない二人は、傍から見たら同じ場所に連れだっているようには、見えないのかもしれない。


「去河くんと、話してみたいの」

「え……要二と?」


 さっき私がその目的を切り出した時、乾くんはとても意外そうにしていた。それでも言葉の足りない私の意を汲んで、今は去河くんの家へと案内をしてくれている。

 私はそんな彼の横顔をチラリと見て、改めてこう訊ねた。

「どうして、去河くんが休学を?」

「あ……うん、それはね」

 と、やや考えた後。

「ごめん。要二との約束で、詳しくは話せないんだ。家業の青果店を、手伝ってるとだけ……」

「そう……」

 去河くんにも、何か事情があるらしい。そう言えば以前、保健室で話した時――。


『藍山――生徒と教師じゃなかったら、問題ないってことだよな』


 最後に彼は、確かにそう言った。その真意はまだわからないけれど、何らかの覚悟があったからこそ、口をついた言葉であるのだろうか……。


「ごめんなさい」

「え、どうして――謝るの?」

 その不意の謝罪に、きょとんとする乾くん。

「私、きっと――無理を言ってる」

「気にすること、ないよ」

 乾くんはそう言って、穏やかに笑った。
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