この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
クラス ×イト
第10章 せッきン 【藍山栞2】
こぢんまりとした昔ながらの青果店には、色取り取りの野菜や果物がその軒先を賑わせている。
その中で働く去河くんの姿は、教室でのイメージとはまるで違っていた。今も一人で訪れてるお年寄りのお客さんに愛想良く話しかけては、袋に詰めた野菜を手押しの籠に入れてあげたりしていて。
去河くんのその変化は、きっと良い方向へと向いているのだと、私にそう思わせていた。
話しかけるのも申し訳なく感じて、その様子を見守っていた――私たち二人、だけど。
「英太――?」
直に去河くんが乾くんに気がつくと、一緒にいる私に少し驚いたようだった。
「どうも――お久しぶり」
私が挨拶をすると、去河くんは小柄な乾くんの身体を捉え、私とやや距離を置く。そうしてから、何やらヒソヒソと話し始めた。
「……」
やっぱり、二人は仲良しだ。私はそんな二人の姿を、ちょっぴり羨ましく感じていたのだろうか……。
「要二と話したいって――藍山さん、が」
「へ? 俺と――」
そんな話し声が聴こえ、私を振り向く去河くん――。
「お店が終わってからでいいの――時間ある?」
その顔を見ると、私はそう訊ねていた。
その中で働く去河くんの姿は、教室でのイメージとはまるで違っていた。今も一人で訪れてるお年寄りのお客さんに愛想良く話しかけては、袋に詰めた野菜を手押しの籠に入れてあげたりしていて。
去河くんのその変化は、きっと良い方向へと向いているのだと、私にそう思わせていた。
話しかけるのも申し訳なく感じて、その様子を見守っていた――私たち二人、だけど。
「英太――?」
直に去河くんが乾くんに気がつくと、一緒にいる私に少し驚いたようだった。
「どうも――お久しぶり」
私が挨拶をすると、去河くんは小柄な乾くんの身体を捉え、私とやや距離を置く。そうしてから、何やらヒソヒソと話し始めた。
「……」
やっぱり、二人は仲良しだ。私はそんな二人の姿を、ちょっぴり羨ましく感じていたのだろうか……。
「要二と話したいって――藍山さん、が」
「へ? 俺と――」
そんな話し声が聴こえ、私を振り向く去河くん――。
「お店が終わってからでいいの――時間ある?」
その顔を見ると、私はそう訊ねていた。