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クラス ×イト
第10章 せッきン 【藍山栞2】
 また一つピースが、はまる。けれどそれは、外枠の一つに過ぎないから、パズルに描かれた全景は一向に姿を現さない。

 それはその後に、去河くんが付け加えていた内容についても同じだった。

「その上によ……北村は佐倉先生を副任から、外そうとしたみたいだぜ。噂を気にしてたらしいが、普通そこまでするか?」

「……」

 佐倉先生はこんな私から見ても、女性らしい素敵な人に思える。そんな人をそうまで遠ざけるのは、やっぱり特別な意味があってのことだと、そう考えることはできるけれど……。

「それにしても、さ」

 その時、乾くんが意味ありげな視線を、去河くんに送っていた。

「なんだよ?」

「要二はいつ、佐倉先生からその話を聞いたの? 学校にだって、来てないのに」

「そ、それは、その……偶然に会って、だな……」

「偶然に? だけどさ、そんな込み入った話するなんて、よっぽど――痛っ!」

 そう言いかけた乾くんの頭を、去河くんが小突く。

「そこは、話の本題じゃねえだろ!」

「なんだよ……。ほんの素朴な疑問だったのに、なにも殴らなくたって……」

「その内、気が向いたら話すかもしんねーし。だから今は、スルーしとけ」

 頭を擦り不服そうな乾くんを、去河くんは強引にねじ伏せていた。


「……」

 やはり乾くんは、例の噂を知らない。そして当然、去河くん自身も……。

 それを彼らに話すべきか否か、私はまた少し頭を悩ませている。
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