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クラス ×イト
第10章 せッきン 【藍山栞2】
 するとそんな時、去河くんが窓から外を眺めながら、しんみりと呟いた。

「無理だ無駄だって感じるほど、その人しかいねえ、とか思っちまう。視野が狭くなればそれだけ、気持ちは高く積み重なる一方なんだぜ」

 それを耳にした私たちが、やや唖然とした後――。

「プッ、フフ――要二、どうしたの? 急に雰囲気を出しちゃったりしてさ」

「う、うるせえな! 俺のスゲーいいセリフが、台無しだろうがっ!」

「ゴメン、ゴメン。うん、そう言えば、ちょっとカッコ良かったかも」

「この野郎……完全に、馬鹿にしてやがる」

 暫し乾くんとじゃれ合ってから、去河くんは私に真剣な顔を向ける。

「藍山――たぶん、俺に聞きたかったことって、そういうことなんだろ」

「え……?」

「さっきのはつまり、佐倉先生を好きになってからの、俺の心情ってやつだ。お前の姉ちゃんのことは知らねえけど。教師との叶わぬ恋ってことなら、そこは同じなのかもしれねえ。自殺するほど思い詰めたとしても、俺は不思議だとは思わねえよ」

「そう……」

 恋が破れたからって、自殺なんてするものだろうか?

 ずっと私の心根にあった疑問に、去河くんが答えてくれた気がしていた。確かにそれは私が知りたかった、楓姉さんの想いの断片なのかも……しれない。
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