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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
「もしかして、赤緒さんの話?」

 三生は自らその名を出し、ニヤッと笑った。そして、僕の同意を待つまでもなく、続け様にこう話していた。

「まあね。彼女のことは少しづつ、わかってきているんだよ」

 わかって……きてる? その言葉と、それを口にしたその表情が、僕の不安を高めてゆく。

「もしかして……だけどさ。また……赤緒さんのこと、つけ回したりいてないよね?」

 以前、三生が告白した時と同様に。あんなことを続けてはいないかと、僕は恐る恐ると訊ねた。そしたら――

「嫌だな、英太くん。人をストーカーみたいに、言わないでくれない」

 三生は少し剥れて、そう答える。

 その態度を見て、僕はホッと胸を撫で下ろした。

「ごめん。そうだよね。三生がそんなこと……」

 でも――

「もちろん、彼女に迷惑をかけたりしない。今、僕は――タイミングを、窺っているんだ」

「タイミングを……窺う?」

 三生の言葉は、何故か怪しげな響きを孕んでいるように感じる。

「ウフフフ――なにも可笑しな話じゃないよ。英太くんが藍山さんを想うのと、一緒。だからお互いに、励まし合っていこう。僕が言いたかったのは、そういうことだから」

「うん……そう、だね?」

 やっぱり、少し変なのかも……。

 少なくとも例の教室での一件が、三生に大きな影響を及ぼしたのは確かみたいだ。


 この時点に於いて僕は仲間として、もう少しだけ三生のことを気にかけていれば、なんて。

 後に僕は、そんなことを悔いることとなるのだった。
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