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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
 ともかく、現在の僕の最優先事項は、藍山さんに渡された本を読み解くことだ。

 彼女は感想を教えてくれればいいと、そう言っていたけれど。僕は内心、それだけで終わるつもりはなかった。

 もしこの本の中に、彼女のお姉さんに纏わる重要なヒントが隠されているとしたのなら、僕は何としてでもそれを見つけたいと思う。そうすれば、僕は今よりももっと、藍山さんと……。

 でも、これって下心……なのかな? ううん、仮にそうだとしても、それが藍山さんの為でもあるなら悩むことなんてないんだ。だぶん――。

 その本を読み始めた頃の僕は、そうすることで彼女が喜ぶのだと、そう信じて疑おうとはしなかった。


 それから、数日後。放課後に図書室を、訪れていた僕は――。

「……」

 今日も、いない……。

 そこに藍山さんの姿がないことに、やや落胆すると肩を落とした。

 昨日もその前も、藍山さんは図書室に来てはいない。日頃から図書館で、頻繁に本を借りたり読んだりしてる、彼女であるのに……。

 お姉さんの話を聞き、その想いに通じるかもしれない本を託された。そのことで彼女との距離がグッと詰まったように思って、普段から何気に接することができると、僕はそんな気がしていたのだけども……。

 ここ数日の藍山さんは、意図的に僕を避けているようにも思えた。
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