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第11章 マえぶレ 【乾英太3】
 仮にそうだとしても、その理由に何となくの察しをつけることはできる。藍山さんは、本を読む僕の妨げにならないようにしてるではないかと。だけどそうは思ってみても、何処か僕の心は晴れようとしなかった。

 だからこそ余計に、僕は早く本を読み終えたいと感じる。そうすれば、彼女とまた話すことができるのだから……。

 そんな気持ちもあって、家でも学校でも本を読み進めていたものだから。僕はこの日の図書室で、既に上下巻の一冊目を読破していた。

 その内容を端的に表せば、それは恋愛小説である。およそ三、四年くらい前に出版されたものらしく。作品の時代背景も現代の実社会を舞台としており、テーマも含め僕にとっては比較的に読み易い物語だった。

 昨日の夜、一応はと思いネットにて本のタイトルを検索している。しかし、この本は無名な作品であるらしく、同著者のその他の著作であるとか、特に目ぼしい情報は得られなかった。

 ストーリーラインは、主人公の女性が幾多の困難を乗り越え最終的には意中の男性と結ばれる、という感じ。途中でドロドロとした展開はあるものの、一応はハッピーエンドだった。主人公の彼女の心情を綴った、いわゆる一人称小説である。

 それを読んだ僕の率直な感想は、良くも悪くも普通の恋愛小説だということ。多くの場合、恋愛には障壁が付きもの、という意味に於いては何ら特別な印象を抱くこともなかった。

 仮に藍山さんのお姉さんが生徒という立場で、北村先生に想いを寄せていたとして。特にこの物語の中に、自分を深く重ね合わせる理由があったようには、少なくとも僕には思えなかった。

 もちろん、僕が何を知ってる訳でもないのだし。だから、この時点で僕が気になっていたのは、全く別のことになる。それは上巻を読み終え、僕が覚えていた違和感。


 これってもう、話が終わってるんじゃ……?


 そう思うのに、それでも。この物語には、まだ続きの下巻が残されていたのだった。
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