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クラス ×イト
第2章 だメンず 【乾英太1】
 赤緒さんが去って、教室に残された――僕と三生。

「……」

「……」

 お互いに言葉を失ったように、ただその場に佇む。

 取り留めのないような静けさの中で、最初に口を開いたのは三生だった。

「え……英太くん」

「なに……?」

「今、見たこと……要二くんにも……誰にも……言わないでくれない?」

「……」

「ねえ――お願いだから」

 必死にそう懇願する三生に――

「わかった――」

 そう言いながら、僕はそっと顔を背ける。

「わかったからさ……ズボンを履きなよ」

「あ……」

 僕の指摘を受けて、三生はようやく自分の姿に気がついていた。


 そんなことがあった帰り道。三生と並んで歩きながら、僕らは黙ったまま淡々と道を進んでいた。

「……」

 僕はある種の気まずさに、苛まれている。それは、三生も同じ。いや、その点に於いては、三生の方がずっと……。

 僕はふと横目で、その顔を窺う。

「……」

 黙ったままの表情は、少し強張って見えた。


 三生が聞いたのは、一体どんな話なんだろう?


 だけど、僕がそれを聞けるはずもなく。三生がそれを、話すはずもなかった。

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