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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
「えっと……どうかしたの?」
僕がそう訊くと――
「なにが?」
「あ、いや……」
即座に訊き返され、僕は意味もなく慌てている。
たまに話すようになったとはいえ、瀬山くんを前にすると僕は少しの緊張をしてしまうみたいだ。それはクラスに於ける立ち位置を、自然と意識してしまうからなのだろう。
だけど、何時までもそんな引け目を感じるのは、こうして接してくれる瀬山くんに対して失礼なのかもしれない、とそう思い。
「瀬山くん――部活の時間じゃないの?」
僕は改めて、そんな風に訊ねてみた。すると――
「まあ、知らないよな。俺――部活、辞めたんだぜ」
「えっ……どうして?」
「うーん……一言では言いにくいが、話した方がいいのか?」
「いやっ……無理に聞くつもりは、ないから……」
「そうか。悪いな」
「ううん、別にいいんだ」
何処か深い事情を匂わせている瀬山くんに、僕がそれ以上踏み込むことはできない。そう感じた僕は、話題を切り替えようとした。
「瀬山くんって……図書室には、よく来るの?」
彼の前には数冊の本が積まれているが、パッと見そのジャンルはマチマチ。瀬山くんがそれを読んでいたような雰囲気は、感じられなかった。
「たまにだよ。昼寝するには、いい環境だから」
「フフ、昼寝って。もう、夕方だよ」
僕にしてみれば瀬山くんに、冗談ぽくそう言えたことが何か嬉しいような気がしてる。
だけど――瀬山くんの次の言葉は、そんな呑気な僕の心を揺さぶるものとなった。
「まあ、今日は何気に――藍山と話せればと、そう思って来てみたんだが」
僕がそう訊くと――
「なにが?」
「あ、いや……」
即座に訊き返され、僕は意味もなく慌てている。
たまに話すようになったとはいえ、瀬山くんを前にすると僕は少しの緊張をしてしまうみたいだ。それはクラスに於ける立ち位置を、自然と意識してしまうからなのだろう。
だけど、何時までもそんな引け目を感じるのは、こうして接してくれる瀬山くんに対して失礼なのかもしれない、とそう思い。
「瀬山くん――部活の時間じゃないの?」
僕は改めて、そんな風に訊ねてみた。すると――
「まあ、知らないよな。俺――部活、辞めたんだぜ」
「えっ……どうして?」
「うーん……一言では言いにくいが、話した方がいいのか?」
「いやっ……無理に聞くつもりは、ないから……」
「そうか。悪いな」
「ううん、別にいいんだ」
何処か深い事情を匂わせている瀬山くんに、僕がそれ以上踏み込むことはできない。そう感じた僕は、話題を切り替えようとした。
「瀬山くんって……図書室には、よく来るの?」
彼の前には数冊の本が積まれているが、パッと見そのジャンルはマチマチ。瀬山くんがそれを読んでいたような雰囲気は、感じられなかった。
「たまにだよ。昼寝するには、いい環境だから」
「フフ、昼寝って。もう、夕方だよ」
僕にしてみれば瀬山くんに、冗談ぽくそう言えたことが何か嬉しいような気がしてる。
だけど――瀬山くんの次の言葉は、そんな呑気な僕の心を揺さぶるものとなった。
「まあ、今日は何気に――藍山と話せればと、そう思って来てみたんだが」