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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
「あの……」
そう呼び止める声は届かずに、瀬山くんは図書室から出て行った。
応援するって……やっぱ藍山さんとのこと、なんだよね?
僕は彼女に対する気持ちを、相談という形で瀬山くんに聞いてもらっている。そして彼は、その時も同じようなセリフを言っていた。
だから額面通りにそれを受け止めるのなら、僕が藍山さんと上手くいくことを望んでいるように聞こえる、けど……。
だけど、本当それでいいのかな? 瀬山くんがどうして、親友の西くんでなく僕を……?
「……」
否、そんな風に考えること自体、やや自意識過剰なのかも。そもそもこの僕が藍山さんといい感じになるなんて、そんなイメージは皆無。それ処か彼女と数日話せないだけで、不安を感じている有様なのに……。
とにかく、今は本を読むこと。今の僕にできるのは、それだけだ。
あの瀬山くんと同様に、藍山さんだって悩みを抱えている。それは二人が口にしてる『途中』という言葉が、改めてそれを僕に示していた。
お姉さんのことを気に病む藍山さんは、きっと前に進めずに困っている。瀬山くんの話を踏まえて、僕はそう思っていた。
そして僕と藍山さんの関係も、今のままでは一歩だって進みはしない。たぶん、そういうことなのだ。