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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
※ ※
そんな週末も開けた、月曜の朝――。
「ああっ、あと三分――!」
寝坊をした僕は校門を駆け抜けながら、校舎の時計台を見て嘆く。
昨夜は夜中まで本を読んだけど、結局はあと三分の一くらいを残して寝てしまった。机に突っ伏して寝ていたものだから、身体の節々に痛みを感じている。
ともかく遅刻を免れようとして、僕は校舎に飛び込むと二階の教室を目がけ、ダダダッと階段を駆け上がって行った――。
そうして階段の踊り場で、手摺を掴みながら勢いよくターンした時だった。
あ――!?
目の前の女子の姿に気がつき、僕は声を上げる。
「――危ないっ!」
「えっ――!?」
その声に反応した彼女は咄嗟に後ろを振り返ったけど、警報を発していた僕の方のブレーキが間に合わなかった。
その結果――。
――ドン!
僕はまるでラグビーのタックルみたいに、彼女のことを押し倒してしまう。
「――!?」
だけど、激しくぶつかった割には、不思議とダメージを感じない。それ処か僕の頭部は、柔らかい何かに包まれてるような感覚……。
なんだろ……なんか、ぽよんとして……?
そう思いつつ、何とか顔を上げると――
「ご、ごめんね……大丈夫だった?」
「う、うん……なんとか平気。クッションのお蔭かなぁ?」
「クッション……?」
あれ……なんだか、よく……見えない。
聞き覚えのある声を耳にするが、僕にはぶつかった相手がわかっていない。どうやら眼鏡が外れていたみたいだけど……。
それにしても、これって誰の声だっけ……?